
からこそ
こんばんは。池田です。
雨模様が続いていたので桜が散ってしまうかと心配していましたが、なんとか保ってくれていますね。
どうやら満開になってすぐに気温が下がったからこそ散る状態にまで成長しなかった、というようなことを天気予報で言っていたような、なかったような。
それでも雨で多少は散ってしまっているので、この土日が最大のお花見日和となりそうでしょうか。
お花見だからこそお昼からお酒を絶好の機会なので休みたい気持ちもあったりしますが、そんな余裕はない悲しい現実。
僕の悲しい現実はさておき、この土日が明けたら入学式が多そうですし、お花見よりも入学式で桜を楽しむべきだよな、なんて思ったり。
どうにか散らずに保ってくれることを祈っておくことにします。
桜を見るよりも外でお昼からお酒を飲むからこそお花見なんだよな、とお花見の趣旨が変わってしまう事実を受け止めている中、先月お取り置きしていただいていた古着を先日yauranさんに回収しに行ってきました。
購入したのは某ポニーブランドの後付けスウェットフーディと謎カタツムリプリントT。
プリントTはまだまだ先の出番となりそうですが、この春らしい気温だからこそスウェット類のアイテムを存分に満喫できそうでしょうかね。
何度も書いてしまっていますが、ここ最近の二季になりつつある現実の中でスウェット類を楽しむ時期が短くなってしまっていますし。
それなら着ることができる気温でこそスウェットに出番を与えていきたいところ。
それとニットにももちろん出番を与えてあげないといけないんですけどね。
それとそれと軽めのアウターも、なんて挙げ始めたらきりがなくなってしまいますが、春だからこそ楽しめることをとことんやっていくのが吉であることは間違いなし。

春だからこその楽しみは体がいくつあっても足りないのでは、と四季に戻ることを切望しながら、本日は山内の強撚コットンローブ・ショートスリーブシャツ・有松絞りのご紹介を。
山内だからこそ出せる魅力を感じられる仕上がりかと。

やはりこちらの何よりの特徴は有松絞りによる柄ですよね。
山内では継続して有松絞りを施したアイテムを展開していますが、同じ有松絞りといえど柄や色味が異なるからこそ毎度惹かれてしまうこと必至なのではないでしょうか。
ムラを楽しんだり、特徴的な柄を楽しんだり、独特な色味を楽しんだり、その楽しみ方は千差万別。

これまでも山内の有松絞りについては何度も書いてきていますが、山内が有松絞りを採用する背景については触れないわけにはいきません。
何せ有松絞りは山内の拠点である愛知県の伝統工芸ですので。
もちろん同じ県の伝統工芸であるからこそ採用されていることも挙げられますが、それ以上に山内さんが抱いている想いを感じてしまう次第。
それが有松絞りの後継者不足という問題。
国内の伝統的な技術において多方面で後継者不足に陥っていることは誰しもが知るところですよね。
だからこそ山内では何かしらのアイテムで毎シーズン展開しているわけですが、いざそれを実行できるかということはまた別の話。
実際に有松絞りを採用したアイテムを展開しているブランドこそあれど、毎シーズン展開しているブランドはほとんど見られないからこそ山内さんの気概を感じてしまいますね。
このような後継者不足問題を解決する、と言っているだけでは軽薄な印象を抱いてしまうかもしれませんが、それを魅力あるものに昇華しているからこそ惹かれてしまう次第。
その中でも山内の手札の幅広さは群を抜いている気がしてしまいます。
これは山内さん1人で実現できているわけではなく、職人さんたちとの模索があってこそ実現しているのでしょうね。

そんな有松絞りが施されたこちらのアイテムでは大判なチェック柄が表現されています。
とはいえ、手作業による有松絞りであるからこそ、びしっと整ったチェック柄になることなく、ゆらゆらと太さが変わりながらチェック柄が形成されたものに。
加えて、チェック柄を形成する線の中でも染まっていない箇所が出てくる点も有松絞りだからこその良さと言えるでしょうね。

これらの線の輪郭ははっきりとはせずにぼやっとしている点も個人的には魅力的に映ってしまいました。
プリントしたかのようなぱきっとした輪郭ではなく、太さが変わることも相まったぼやっとして輪郭だからこそ朗らかな雰囲気が出ている気がするんですよね。
ぴんと背筋を伸ばすことなく、柔らかなチェック柄に仕上がっているのではないでしょうか。

また、上述したようにゆらゆらと太さが変わることで、柄合わせをしているものの、太さが完全に合致することはありません。
ここも抜けた雰囲気を感じさせる要因になっていますかね。
山内のアイテムでは凛としていたり、ぴりっと緊張感があったり、生地の凄みをひしひしと感じたり、なんてアイテムが多く見られますが、こちらではそういった雰囲気ではないと言えるかもしれません。
もちろん山内だからこその作り込みの凄みは感じられますけどね。

色味としてはネイビーがかった黒にベージュのチェック柄となっています。
大ぶりなチェック柄なのでしっかり存在感を感じられつつも、色味自体は落ち着いているからこそ合わせづらいなんてことはなさそうですね。
存在感あるチェック柄に落ち着いた色味、味気なくなってしまいがちな暑い時期のスタイルに欠かせない存在として寄り添ってくれるはず。

そんな有松絞りが施されているのが強撚糸を使用したコットンローブサテンです。
強撚糸は80番双⽷にガス焼きが施されているため、さらりとしつつしゃりっとした生地感に仕上がったもの。
このコットンではないような生地感は、強撚糸、80番双⽷、ガス焼き、といった要素を持ち合わせているからこその仕上がりかと。
であるが故に、暑い時期にも快適さをもたらしてくれるはず。

生地感がコットンとは思えないと同時に、だからこそ生まれるドレープに品を感じさせますね。
コットン100%でここまですとんと落ちるシルエットにはなかなか出会えなそうでしょうか。
どことなくレーヨンなんかが使われているのかな、なんて思ってしまう佇まい。

コットンだと思えないとはいえ、コットン100%であるからこその扱いやすいさは言うまでもないでしょうね。
暑い時期に最適だとしても気軽に洗濯などができないとなると着る時に気を遣ってしまいますし。
上質さを感じられるにも関わらず気負いなく着られるなんて嬉しい限り。
デザインとしては今季の他のアイテムでも採用されている半比翼仕様となっています。
この半比翼はありそうでなかったデザインなようにも思いつつ、僕が見たことがないだけかとも思いつつ。
何はともあれ、ボタンが半分顔を覗かせるからこそ感じられる曖昧さが小気味良い表情をしているでしょうかね。

ボタン繋がりと言ってはなんですが、襟はボタンダウン仕様とされています。
ボタンダウンとなるとカジュアルさがより出てしまうと思われるかもしれませんが、品の良い生地感だからこそカジュアルさに振られ過ぎることのない仕上がりですね。
品があり過ぎず、カジュアル過ぎず、非常に良い塩梅。

それ以外の要素としては、左胸に配されたフラップポケットはわずかながらに低めな位置に設定されています。
明らかに低く設定されていないからこそここでも曖昧さや少しの違和感を感じられると言えるかもしれません。
控えめな曖昧さや違和感に抑えるからこその山内らしさでしょうかね。
自分だからこそできることを模索していかねばなりませんね。
魅力を広めたいからこそ継続して採用している有松絞りを、職人さんとの模索があったからこそ実現した、ぼやっとした輪郭のチェック柄だからこその曖昧な表情が魅力の山内の強撚コットンローブ・ショートスリーブシャツ・有松絞りを是非。
池田