保つ
こんばんは。池田です。
以前も同じようなことを書いたと思いますが、早くも1月の最終日となってしまいました。
本当に時間が経つのが早すぎますね。
オープン準備から閉めるまでの時間も恐ろしい早さで過ぎてしまいます。
『はなし -diary-』を書いていると特に早いんですよね。
もう少しゆっくりと時間が過ぎて欲しいんですけど。
そうこう言っている中、2月からは各ブランドの展示会に毎週行く、という楽しい1ヶ月になります。
オーダーを考えるのは非常に楽しいのですが、セレクト基準が変わってしまうことだけは気をつけないとな、と感じています。
あくまで僕が良いと思ったものをセレクトする、という視点は常に保たないと、誰がどこでやっていても変わりないですからね。
初心を忘れず、方針や考え、気持ちを保っていく、と自分への戒めを込めて。
色々と保っていくと勝手に戒めた本日はsatouのnoragi hooded coatのご紹介です。
まずsatouの23SSのテーマとして「押し花」が設定されています。
僕は「押し花」には全く縁のない生活を過ごしてきましたが、祖父母や親よりも以前の方が多くやっていたのかなと勝手に想像していると、satouらしいテーマ設定だなと勝手に考えていました。
ちなみに「押し花」は16世紀あたりが始まりだとされていて、元々は生物学者の方が標本として保存するためにやられていたそうです。
豆知識でした。
「押し花」については後述するとして、niragi hooded coatのベースになっているのが、スウェーデン軍のスノーパーカー。
僕も古着で持っていたのですが、オーバーダイしたものを窓際に数日掛けていたら、色褪せが酷いことになってしまい悲しくなった記憶があります。
それはさておき、そのベースに農作業用の雨ガッパをイメージしたデザインになっています。
ミリタリーに農作業を掛け合わせるなんて、satouならではのアイデアではないでしょうか。
そして何より目を惹く点で言えば、左胸にあるチェーン刺繍で施された「押し花」ですね。
かなり大きめな「押し花」になっているので、主張が強いと感じられるかもしれませんが、同じ生地に白糸での刺繍なので、しっかり溶け込んでくれて主張は和らいでいるかと思います。
チェーン刺繍ならではの手仕事の雰囲気、優しい雰囲気も感じていただけるのではないでしょうか。
使用されている生地は22SSから継続して、オリジナルの麻の葉柄キルト。
23AWでも麻の葉キルトではありましたが、こちらでは表地がリネン100%となっているため、全く異なる表情の仕上がりです。
また、裏地にはコットン100%の生成り生地を使用しています。
satouでは定番と言っても良いと思いますが、飛騨高山の「春慶塗」という漆塗りを施したウッドボタンをフロントで使用されています。
このなんとも言えないぽってりとした形が良い味を出してくれていますね。
スノーパーカーらしいゆったりシルエットになっているので、薄めの生地ではあるものの、レイヤード次第でまだ冷えるという時期でも着られるかと思います。
個人的に薄手アウターでゆったりシルエットは、長い期間着ることができるので非常に重宝することが多いですね。
「押し花」も目を惹きますが、フード、ウエスト、袖にある紐ベルトも印象的です。
それぞれ絞ることができるので、自分らしいシルエットを探してみるのも楽しいのではないでしょうか。
そして、大きめのフードにはsatouのアイコンであるハンドステッチがあしらわれているので、ここもお見逃しなく。
色味の展開はkinariの1色。
白でもなく、ベージュでもなく、優しい色味になっており、どんなアイテムとも合わせやすい色味ですね。
実は備長炭染めをした色味もあったのですが、減産とのことで入荷ならず。
残念ですが致し方ないですね。
noragi hooded coatを着て、元々は標本として保存されていた「押し花」と、初心を忘れず、方針や考え、気持ちを保っていくという心を、胸に携えるのも良いかもしれませんね。
保ちたい何かがある方も、変わるべき何かがある方も、「押し花」を胸に携えたnoragi hooded coatを是非。
池田