抜け
こんばんは。池田です。
昨日はまたもや帰宅中に雨に打たれてしまいました。
朝の予報では雨が降るとは言っていなかった気がしたのですが、ここ最近の雨男ぶりには自画自賛するしかないかもしれません。
それでも雨はぱらぱら程度で本降りになる時間までに自宅まで駆け抜けることができたので良しとしておきます。
帰路につく時間が少しでも遅れたり、本降りの時間が早まっていたりしたら、先日のようにずぶ濡れになっていた可能性を考えればずば抜けて良かったと言えるかもしれません。
もちろん多少は濡れましたけどね。
この雨男ぶりにはいよいよ安価合羽の常備で切り抜ける必要に迫られているのかもしれない、と切迫されつつある中、絶賛パリコレ開催中ですね。
パリコレ期間は『はなし -diary-』を書いたり、それ用の撮影と画像の調整をしたり、Instagramの投稿内容を書いたり、入荷作業があったり、online掲載作業があったり、各ブランドのLOOKを見たり、と勝手に忙しくなってしまうんですよね。
それが楽しいので何も文句はないんですけども。
何はともあれ、やはり各ブランドを見ていると、あの要素を抜けに抜かしたかのような所謂クワイエットラグジュアリーなる潮流はなりを潜めてきているでしょうか。
あのクワイエットラグジュアリーなるものがあまり気に入らなかった僕としては大歓迎の流れと言えるかもしれません。
そんな潮流が感じられる中で、やはり気になるのは国内のブランド。
所謂ラグジュアリーブランドが大きな規模で発表している中、いかにクリエイションで錚々たるラグジュアリーブランドの間をすり抜けていくのか。
個人的な賛否はそれぞれありつつも、良し悪し関係なく国内のブランドには頑張っていただきたいですね。
そういえばINNATもパリという異国の地で駆け抜けているな、と感化されながら、本日はそんなINNATのHBT CARGO TROUSERSのご紹介です。
相変わらずの抜け具合を見せてくれる仕上がり。
こちらのソースとされているのが40年代のアメリカ軍で採用されていたM-43 HBT TROUSERSです。
INNATのアイテムは総じて言えることではありますが、オリジナルのデザイン要素が抜けることなく踏襲されています。
これには谷さんのオリジナルへの敬意が込められているようにも感じられ、余計な要素を加えないからこその良さを感じていただけるのではないでしょうか。
デザインで何よりの特徴は大ぶりなカーゴポケットですね。
M-65あたりのカーゴポケットよりも高めに配されているので、手をそのまま侵入させることができて実は使いやすかったりします。
それとマチもとられているので容量も申し分ないですし、何かと詰め込んでぱんぱんにするのもなんだか良さそうな気も。
とはいえ、アウターを着てしまったら物を抜けなくなってしまいそうなのはご愛嬌。
なのですが、気が抜けてしまったのか、アウターの下からはみ出てしまう姿にも愛嬌を感じられるでしょうか。
高い位置に居座っていることに安心してしまっているのかもしれませんね。
それ以外では特有のガスフラップも踏襲したデザインとなっています。
現代で生活する上で何かから守る必要がないことは当然のことながら、こういったオリジナルの要素をしっかり踏襲するあたりに谷さんの敬意を感じてしまうんですよね。
無駄と言われてしまえばそれまでではありますが、そんな野暮な考えはすり抜けてオリジナルの要素を楽しみたいところ。
と、ここまではオリジナルのデザインの特徴と一致するわけですが、それではINNATとしてのデザインや仕様は抜け落ちてしまっているのでは、なんて感じてしまうでしょうか。
もちろんそんなことはなく、INNATらしい気遣いのあるデザインと仕様が加えられています。
それらは主にウエスト部分に気遣い要素を追加。
オリジナルではカーゴポケットのみでやや使いづらさがあるところ、背面にはヒップポケットが追加されています。
これは非常に嬉しいお気遣いですよね。
毎日手拭いを持ち歩く僕にとってはなくてはならない仕様なので願ったりかなったり。
カーゴポケットの使いづらさの抜け道ができたと言えるでしょうかね。
さらにウエスト部分を見てみると、ピンループが追加されていたり、太さ違いのベルトループが二重の仕様になっています。
ピンループがあることでベルトから抜け落ちる心配はなさそうですね。
一方のベルトループはベルトの太さによって使い分けることができる対応ぶり。
さらにさらにガスフラップ部分の画像でもわかる通り、ドローコードも備わっているのでベルトなしでも問題なし。
いやはや、谷さんは抜け目ないですね。
お気遣い感謝です。
そんなデザインと仕様で採用されているのが、コットンの二重織ヘリンボーン。
このヘリンボーンは長い時間をかけて揉み込まれているため、非常に柔らかくほわりとした生地感に仕上がっています。
ほわりと柔らかく、かつ軽やかな生地感なので、二重織とはいえ暑い時期でも穿けるような気も。
サイズ感も分量たっぷりの太さですし、運動するように駆け抜けることさえしなければ問題なしかと。
この生地感が非常に心地良しなことはもちろんのこと、INNATらしい気の抜けた雰囲気を漂わせてくれているでしょうか。
まるでミリタリーとは思えないようなこの気の抜けよう、実にINNATらしいと言えるでしょうね。
ついついこちらも気の抜けた表情になってしまいそうです。
そして色味は茜によるPinkと備長炭によるSumikuro。
Pinkは彩度が高いことはなく、ほんわかと柔らかさのある色味なので、気が抜けていたとしても優しさ溢れる存在かと。
一方のSumikuroは毎度の如くな安心感を持ち合わせ、どんなアイテムにも抜け目なく寄り添ってくれる存在と言えそうです。
どちらを抜け駆けするのか迷ってしまうでしょうか。
どんな問題が生じようとも表情を変えることなくすり抜けられるようになりたいものですね。
オリジナルの要素をしっかり踏襲しつつも抜け目ないお気遣い要素を追加し、INNATらしい気の抜けようを感じられるほわりと柔らかな生地を使用した、どうしても抜け駆けして欲しくなってしまうINNATのHBT CARGO TROUSERSを是非。
池田