
消す
こんばんは。池田です。
まるで実感はありませんが、GW真っ只中ですね。
独立してからと言うものの、GWやら祝日やらとの関係性は消すことになってしまったので、僕自身は日常と何も変わらないんですけども。
あ、祝日が木曜日だった場合は振替で別の曜日にお休みをいただいてるので、祝日に関しては完全に関係性を消すことにはなっていませんね。
独立後なんて言いつつも、前々職も販売員だったので社会人になってからGWを実感できたのは前職の時のみ。
あんなにGWを楽しみにしていた生活の記憶を取り消すかのような状況は少し悲しかったり。
とはいえ、GWがなくとも好きなことを続けて楽しんでいるので文句は何もないんですけどね。
悲しいという発言は取り消すことにしましょう。
独立後の辛い記憶を消すことはないようにせねば、と初心を忘れない姿勢を見せている中、今週のONE PIECE最新話も面白かったですね。
やはりあの人物は熱狂的なファンだった模様。
熱狂的であるが故の言動をしていましたが、それを打ち消す覚悟が非常に凛々しく描かれていたでしょうか。
新世界編に入ってからというものの、一味のこういった恐れを消すかの如くな覚悟が度々見られると嬉しくなってしまいますね。
それでも状況が良いとはとても言えないので、あの2人がどのようにこの状況を打破するのか楽しみなところ。
少し嫌な予感もしてしまいますが、それを打ち消す展開になってくれることに期待。


またその話題か、というご意見がある状況を無理矢理揉み消すことにしながら、本日はFujimotoのOver Dyed T shirts "Fade"のご紹介を。
消すからこそ引き立つ仕上がりの1着。

こちらはFujimotoではお馴染みとも言えるプリントTとなっています。
春夏は半袖、秋冬は長袖、といった具合に展開しているわけですが、たとえ継続しているとはいえ、毎シーズン異なるグラフィックがプリントされているため、まんねり感は打ち消すことができているのではないかと。
秋冬に関してはグラフィック以外の部分でも変化が見られますしね。

というプリントT、今季のグラフィックもたまらないわけですが、何やらぼやけているような。
それもそのはず、このグラフィックは藤本さんご自身でiPhoneのアプリで所々消す作業を施しています。
アプリの詳細はわかりませんが、おそらく高性能なアプリでの消す作業ではないからこそ、このぼやけた表現になっているのではないかと。
もしそれが間違っていたら姿を消すことも考えないとな、と覚悟をしておきつつ、その消す作業が施されているのが23AWで撮影されたLOOK。
LOOKとはいうものの、公式に採用されたものではなくアザーカットを採用しています。
アザーカットを消すことなく、23AWのLOOKが蘇るとなるとなんだか嬉しくなってしまいますね。
何せ23AWのLOOKが個人的にはこれまでで最も好きだったので。

そのLOOKがどのようなものだったのかわからないほどまでに消す作業を繰り返すことで、このぼやけたグラフィックに仕上がっているわけですね。
では何故ここまでぼやかしたのか。
それは今季のテーマの中のひとつである60年代と70年代の写真が関係しています。
60年代と70年代の写真から影響を受けていることから、今季はコントラストの効いたデザインなどに落とし込まれている中、こちらではポラロイド写真のざらついていてぼやけた作品から落とし込まれています。
はっきりと写ることなくぼやけたポラロイド写真、なるほど、確かに性能が高くはないであろうアプリで消すからこその表現と言えそうですね。

ということは、ぼやかしている点とテーマを照らし合わせてみると、あるがままの姿を表に出しづらいことを示唆しているのでしょうか。
もしくは偽りの姿を掻き消すように試みているのか。
どちらの意見も腑に落ちるので皆さまの想像にお任せするのが良いかもしれませんね。

この写真のぼやけ具合は今季のLOOKからも見てとれるかと。
何を着ているのか伝えるためでもあるLOOKという概念を打ち消す実にFujimotoらしい世界観。
もちろんLOOKの中の数枚にぼやけているものを採用されていることを見ることはありますが、これほど全てぼかしてくるブランドはなかなか見られないでしょうね。

少し話がずれてしまいましたが、そのぼやけたグラフィックがプリントされているフロントの一方で、背面ではダイヤがプリントされています。
ダイヤ柄が何故採用されているのかについては、これまでSilk/Cotton Gisya No Collar Jacketをご紹介した『寄せ』やDia Trousersの『挙』、Printed Dia Wide Shortsの『極端』で書いてきているので簡潔に。
コレクション製作期間の都知事選挙についての投稿が散見されたとのことで、それとゲームと同じ名前である某大統領が自由を消すように世間を自分色に染め上げているような状況を関連付けて採用されることになりました。
これまた何度も書いてしまっていますが、僕の展示会メモが日本語になってなさ過ぎて正しいとははっきり言えませんのでご了承ください。
この事実を消すことなく書いておかないと勘違いを生んでしまうのでね。

そのダイヤ柄は3つの版を用いてプリントされています。
某大統領の自分色に染め上げて自由を消す状況が度重なっていることを表されているのでしょうか。
そんな状況でもあるがままの姿を表から消すことなく保とうという意志を感じられますかね。
たとえ偽りの姿を消すことができなくとも、統制には抗いたい気持ちが前面に出ているのかもしれません。

これらのプリントは色味によってネガポジが異なるようにプリントされています。
どちらもプリントをのせているのでネガポジではないというご意見を打ち消すことはできませんが、L.BEIGEは赤でBLACKは白の染料にて染め上げられているのでネガポジと言っても差し支えないのではないかと。
L.BEIGEでは自身の訴えを前面に、BLACKは自身の訴えを掻き消すように控えめに、という性格が表されているのでしょうか。
それは定かではありませんが、このネガポジはある種で写真のコントラストにも繋がっているのかもしれませんね。
というプリントは両面ともに大判なものとなっており、これまでのプリントTよりも存在感溢れる仕上がりとなっているでしょうか。
この主張の強さは藤本さんご自身のあるがままの姿を反映させているのかもしれません。
やりたいことを揉み消すことなく、やりたいことを遺憾無く発揮されているのかなと。
基本的に主張が強すぎるものを好まない事実も揉み消すことはできませんが、ことFujimotoのグラフィックともなればまた話は別。
ここまで振り切ってくれているからこそたまらないと感じてしまうんですよね。

そこに採用されているのが毎度たまらないシルク混生地。
とはいえ、これまではモダールを含んでいましたが、今季はレーヨンが含まれた生地となっています。
どちらにせよシルクの良さを打ち消すことのない繊維なので、変わらずシルクによるネップが良い表情をしてくれていますね。
画像ではわかりづらいかもしれませんが、ちらちらと見られるのがネップで、あくまで汚れなどではないのでご了承を。
ネップのある生地感だからなのか、生地と生地がくっつきやすかったりしますが、着てしまえばその心配を打ち消すことは言うまでもないのでご安心ください。
そんなことよりもこのくたりとした生地感がたまらないんですよね。
明らかにやる気のない姿を表しているかのような佇まいを感じられるでしょうか。
そうは見えても僕はやる気に満ち溢れていることを念の為お伝えしておきます。

サイズとしてはLooseとRegularがあり、Looseをセレクトしています。
Regularももちろん良かったのですが、Looseの方がプリントのサイズとバランスが取れているように感じたんですよね。
余白を消すことのないところが良いのではないかと。
ただ単にゆとりを求めている事実を揉み消すことはできませんけども。
自身の考えを揉み消すなくはっきり主張することの重要性を示してくれているのでしょうか。
23AWのLOOKを消す作業をすることでぼやけたポラロイド写真のように落とし込まれ、だからこそあるがままの姿を表に出しづらいことを示唆しているのか、もしくは偽りの姿を掻き消すように試みているのか、と想像が働き、やる気ある姿を打ち消すようなネップある生地感によって仕上げられたFujimotoのOver Dyed T shirts "Fade"を是非。
池田