
過ぎ
こんばんは。池田です。
そういえば某番組の古着屋さん特集がかなり話題になっていたので見てみました。
SNSでそれは言い過ぎでは、という意見も見たりしていましたが、結論としては面白過ぎましたね。
僕は古着業界に属しているわけではないのでここで意見を書いたりするのは避けますけども。
それにしても出演していた4人の粒が立ち過ぎてるのなんの。
想いや運営手法、人柄、などなどがそれぞれ異なるところが良かったのかもしれませんね。
良い面よりも悪い面の方が多過ぎたようにも思ってしまいますが、それは反面教師として活かしていこうかなと。
もう1回見るのは流石に見過ぎかな、と見たい気持ちを抑えきれない中、展示会周りも終盤戦に突入しています。
残すところ3つほど。
まだ全て周りきったわけではないですが、それぞれ良過ぎてオーダーには困ってしまいますね。
既にオーダーを確定させているのが大半ですけども。
迷い過ぎてしまうオーダーと同時に、新たなご縁にも恵まれ、来季はより一層充実したセレクトが叶いそうです。
これまでにはなかった雰囲気が出せるかもしれません。
もはやオーダー数が増え過ぎて潰れてしまうかもしれないですけどね。
そうはならないように精進していくのみ。

潰れてしまうなんて全く言い過ぎではないんだよな、と覚悟を持ちながら、本日はFujimotoのFaded Anorak Coatのご紹介を。
やり過ぎているからこその魅力溢るる仕上がりかと。

Fujimotoの25SSのご紹介は初ですので、まずは今季のテーマについて。
先日の入荷時にInstagramでも書かせていただいたものに少し付け加える程度はしたりと長過ぎるかもしれませんがお許しを。
それと毎シーズンのことですが、ブランド公式としてテーマを公にしているわけではないので、僕が展示会で伺ったお話を僕なりの解釈で書かせていただきますので、その点もご了承ください。

今季のテーマとされているのが『FADE』。
ただ、今季は具体的な小説などから大々的に落とし込まれているわけではなく、藤本さんご自身のあるがままの姿を見せるコレクション。
これまではLOOKを思い浮かべた上でそれぞれのアイテムに落とし込でいるものの、今季は具体的に思い浮かぶことはなくぼやっと霞んでいたとのこと。
ただ、それはネガティブな状況ではなく、次に向かおうとしていると感じられ、変化が訪れる示唆とも捉えられたそうです。
そんな中で今季はFujimotoの地力を見せるために最も洋服に向き合って製作されました。
小説から落とし込まれていないとは言ったものの、60-70年代の写真から影響を受けたとのことでした。
具体的にはprovokeという写真集や森山大道、中平卓馬などの写真家で、写真としてというよりもいち作品として影響を受けられたとのこと。
それらの写真は非常にグラフィカルでコントラストが効いており、そういった要素が今季のアイテムの中で見て取れるかと思います。
加えて、ポラロイドのざらついていてぼやけている点も挙げられていました。

そしてLOOKについては、当日はまさかの台風。
強風に豪雨に苛まれた撮影で洋服たちはぐずぐずの状態だったようですが、それにある種で今季らしさを見出し、撮影に臨んだとのことでした。
毎度の如く、何が写っているのか定かではありませんが、コレクション製作の当初の藤本さんの頭の中が霞んでいるさまが表れているのかもしれませんね。
何はともあれ、今季もたまりません。
というわけで、少々長過ぎたかもしれませんが、ここから本題に。

こちらはアイテム名にもある通り、アノラックとして仕上げられています。
ただ、コートとも名付けられているだけあり、アノラックにしては丈が長過ぎると言っても過言ではないでしょうか。
故にパンツを合わせたスタイルとしてご紹介しづらいことはご愛嬌。


アノラック、コートとは言ったものの、レイヤードしたような1着ではなく、それぞれ分けることができるようになっています。
1度で2度美味しいと言いますか。
何を言っているのかわからな過ぎますね。

それは無視しまして、上物のフーディについては裾や袖がカットオフ、所々にダメージ加工が施され、さらに左右非対称とされています。
このカットオフやダメージ加工については藤本さんご自身で破壊するかの如く手作業で施されたもの。
相変わらず手が込み過ぎていて戦々恐々としてしまいそうです。

このカットオフは藤本さんの頭の中が霞んでいるさまを表している、といったところでしょうか。
佇まいとしては戦々恐々としてしまいそうではありますが、藤本さんの温か過ぎる性格を踏まえると、その対照的なところに惹かれてしまうのかもしれません。
念の為注釈しておきますが、本当に藤本さんは温かな方なのでね。

ご理解いただいたということで、さらに左右非対称とされることで天邪鬼な性格を持ち合わせているように感じられるでしょうか。
決して藤本さんが天邪鬼ではないとは思いますが、それよりも左右のコントラストの差を生み出していると言えそうです。
左右非対称なのは丈だけでなく袖もですし、ファスナーも斜めですし、差を感じさせ過ぎますね。

その上物フーディはリネン100%の柔らかさのある生地感となっています。
一方で斜めに配されたファスナーは硬めのものを採用し、ここでも質感のコントラストを感じていただけるかと。
もちろん硬過ぎるわけではありませんが、それなりの硬さは有しているので、よりコントラストを感じていただけるのではないでしょうか。

もちろんセットでなくとも単体としてレイヤードを楽しめますのでね。
丈が短過ぎるが故にレイヤードが捗ること間違いなしですし、どことなく蝙蝠にも見えてきたり。
蝙蝠のように飛ぶことができませんが、単体なら自転車乗りの僕でも楽しめそうだな、なんて欲が過ぎますね。
すみません。


なんとかその欲を消し去ろうとしつつ、それを下支えしているプルオーバーは長過ぎると言っても過言ではないVネックのもの。
こちらは上物と比較するとシンプルではありますが、そこはFujimoto、Vネックにもしっかりカットオフが施されています。
上物をレイヤードしてしまったらほとんど見えないにも関わらず、ここでもらしさを出してくるあたり、流石過ぎますね。
ちなみに私物のパンツがシワシワ過ぎるのは、自転車のチェーンに巻き込まれないようにベルトで留めていたらついてしまっただけなのでお気になさらず。


珍しくポケットに手を突っ込んでいませんが、両サイドにはポケットとともに平紐が備わっています。
ここでは前しか結んでいませんが、背面も結べるよう左右それぞれ2本ずつあるので、後ろも結んでぎゅっとさせ過ぎるのも良さそうですね。
ポケットについては備わっていたことを忘却していたことは秘密にしておきます。


上物とのセット、単体はもちろんのこと、上物同様にレイヤードが捗ることは見てわかる通り。
フロントから覗くカットオフVネックや長過ぎる丈であるが故にレイヤードするだけでただならぬ雰囲気を出してくれているでしょうか。
本当にこれで自転車が乗れたなら、と嘆いてしまっても大袈裟過ぎませんよね。
残念。

また、こちらではウールとリネンの混紡生地となっており、ぴしっとしているわけではなく、ややシワ感がある表情かと。
ぴしっと伸びてても良いとは思いますが、上物のリネンに合わせるのであればこのままの生地感が合っているような。
だからこそこのやさぐれたような雰囲気を感じられるのかもしれません。
それに合わせてパンツもシワを出した、とは言い過ぎなので言わないことにしておきます。

いやはや、何も捻ることなく言ってしまえば、単純に格好良過ぎますね。
あえて表現するなら僕が大好きな某SF映画の衣装といったところでしょうか。
それは言い過ぎかもしれませんが、兎にも角にも雰囲気が抜群です。
これを着ている方と街中ですれ違ったらつい振り向いてしまいそうですね。
それは僕だけかもしれませんが、これを着て颯爽と歩くだけでただならぬ雰囲気を出すことは間違いないかと。
時にはやり過ぎなぐらい突き抜けた方が良い時もあることを示してくれているのでしょうか。
壊し過ぎたかのようなカットオフやダメージ加工が施され、長過ぎるほどのレイヤードをすることで、ただならぬ雰囲気が出過ぎているFujimotoのFaded Anorak Coatを是非。
池田