歪|Distortion Silk Shell Vest|Fujimoto 25AW|えん -en-

こんばんは。池田です。

一昨日と昨日の台風は東京でもなかなかの豪雨に見舞われましたね。
先月の台風は歪んだ性格を持ち合わせていたのか、これまであまり見なかったような道筋を辿っていて、東京に影響を及ぼすことがなかったので久しぶりの感覚でした。
そのおかげもあって定休日にも関わらず、自宅に篭りきりという歪んでいるのか歪んでいないのかわからない1日になってしまったんですけども。
そのおかげもおかげもあって小説を1日で読み切ることができたので結果的には有意義な1日にすることができました。
とはいえ、観に行きたかった展示に行くことができなかったので、来週の定休日は歪な1日を過ごすことなく直行してこようと思います。
実際は予報から歪んでしまったのか、ほとんど雨が降らなかった事実は見なかったことに。

自分でも歪な1日が意味することがわからない中、某強大グループの賞に日本のブランドが受賞したとのことでおめでたい限り。
日本のブランドが受賞するのは初ではないですが、あのようなブランドが受賞したともなると、その審査が歪んでいないことを実感できるかもしれません。
某ラグジュアリーブランドで経験を積んだ大型新人、ではない日本のブランドが受賞、良いですね。
もちろん過去の経歴によって期待値は高まれど、そうではなくクリエイションでしっかり審査されたということが歪な賞ではないことを物語っているのかな、と思ったり。
というより、何かしらの力が作用することなくそうであることを願いたいですね。

歪|Distortion Silk Shell Vest|Fujimoto 25AW|えん -en-

そもそも歪んだ見方をしているのは自分なのではないか、と疑心暗鬼に陥りながら、本日はFujimotoのDistortion Silk Shell Vestのご紹介を。
たとえ歪んでいても見出せる魅力を携えた1着かと。

歪|Distortion Silk Shell Vest|Fujimoto 25AW|えん -en-

今季のFujimotoをご紹介するのは初となりますので、まずは今季のテーマについて。
今季は”SAND LAND”が全体のテーマとされています。
それが意味することは特に思考を歪ませることなく砂漠などを想起させるインドが舞台。

歪|Distortion Silk Shell Vest|Fujimoto 25AW|えん -en-

では何故インドなのか。
それは遠藤周作の作品でインドが舞台の『深い河』から落とし込まれているためです。
作品自体はインドが舞台とされているものの、実際に読んでみると舞台がインドなのかと思考が歪んでしまうかもしれません。
流石に言い過ぎかもしれませんが、インドというよりもどちらかというと”深い河”としてガンジス川が主だった舞台と言えるでしょうかね。

内容としては様々な登場人物の視点で描かれているのですが、それぞれの人物像の違いを感じ取れるものになっています。
真っ直ぐな人物、少し歪んだ人物、歪んだ人物、とそれぞれ異なる人物像であることに加えて、日本とは異なる土地だからこそ感じてしまう独自の宗教観も描き出されており、読んでいくごとに考えを巡らせてしまう内容だな、なんて感じてしまいました。
これは僕の感想でしかないですし、全貌を明らかにするわけにはいかないので、気になった方は是非読んでみてください。

歪|Distortion Silk Shell Vest|Fujimoto 25AW|えん -en-

それらがテーマとされているわけですが、そのテーマを明確にデザインや仕様へ落とし込まれているというよりも、そこから浮かんだデザインや仕様によって仕上げられています。
もちろんテーマと仕上がりが歪な関係になっているわけではなく、それらが良好な関係を築きながら高め合っていると言えるでしょうね。
変わらず藤本さんの世界観が溢れ出てしまったたまらなさ。

歪|Distortion Silk Shell Vest|Fujimoto 25AW|えん -en-

というわけで本題へ。
こちらはボディ全面にウールを採用しており、シルクとポリエステルの混紡生地が上から加わった上で、フロント下部にコットンの切り替えが施されたベストとされています。
3者の生地を切り替えてはいるものの、もちろん歪になることなく保たれているかと。
歪なほど混沌としていても僕としては問題なしではあるものの、大方はしっかり保たれていることが何よりだと思いますのでご安心を。

歪|Distortion Silk Shell Vest|Fujimoto 25AW|えん -en-

ここでは製品段階で洗いをかけた上でサンドウォッシュとタンブラーによる加工が施されています。
テーマである”SAND LAND”から歪むことのない加工としてサンドウォッシュは最適とも言えるでしょうか。
むしろ表現として直球的過ぎて、その仕上がりは如何に、なんて不安も抱いてしまいそうな気もしたり、しなかったり。

いやいや、そんな歪んだ想像は破棄せねばなりませんよ。
よくよく見てみると多くを占めている上部のシルクとポリエステルの混紡生地部分と下部のウールとコットンの部分が歪んで差が生じています。
極めて大きな歪みとまではいきませんが、明確にわかる差は見て取れるでしょうかね。

歪|Distortion Silk Shell Vest|Fujimoto 25AW|えん -en-
 
歪|Distortion Silk Shell Vest|Fujimoto 25AW|えん -en-

上部は縮率が小さく、下部は縮率が大きくなっているため、上部がほわほわと生地が余っているような印象を受けるとでも言いましょうか。
生地が余っているようであるからこそ、余分な部分が歪んでいるように見えてくるわけですね。
相変わらず製品段階での加工による表現が上手いのなんの。

歪|Distortion Silk Shell Vest|Fujimoto 25AW|えん -en-

となると、上下で人間の歪んだ部分とそうでない部分が存在することが表されているのかもしれませんね。
もしくは宗教的な思想や考えが歪んでいると感じてしまう者と信仰している者の両者が表されているのか。
どちらにせよ、思想や考えはそれぞれなので、どちらが正なのか、どちらが悪なのか、なんてものは存在するわけはないんですけども。

あるいは、それらの存在を受け入れた上で自身の進む道を選択してほしい、という藤本さんなりの問いかけなのかもしれないな、とも考えてみたり。
こればかりは真偽はわかりませんし、これについて藤本さんご自身に問いかけることはもちろんしません。
こういった部分も各々の捉え方を楽しむこともまた一興、というわけですね。

歪|Distortion Silk Shell Vest|Fujimoto 25AW|えん -en-

そんなこんなでシルクとポリエステルの混紡生地はサンドウォッシュが施されているため、ふっくらとしたような、粉っぽさがあるような、滑らかさを有した生地感となっています。
この生地感はシルクの良さをまるで歪ませることなく感じていただけるのではないかと。
表情としてはぴかぴかの光沢があるわけではなく、そこは新品から歪ませたようなやややれたような印象でしょうか。

歪|Distortion Silk Shell Vest|Fujimoto 25AW|えん -en-

一方のウールとコットンはぎゅっと詰まった生地感になっています。
これまた上下で生地感に歪みが生じているといったところ。
上部では物腰柔らかな性格、下部では他に流されない芯のある性格、なんて捉えてみましたが、皆さまはどう捉えたでしょうかね。
もちろんこれも考えなくとも問題なしですが、もし考えてみた方は是非お聞かせください。

歪|Distortion Silk Shell Vest|Fujimoto 25AW|えん -en-

縮率と生地感で歪んだ差が生まれていることはもちろんのこと、表情としても歪んだ差を感じられるんですよね。
それもそのはずで、生地が異なるが故に加工による褪色の度合いが異なりますので。
やれた順で並べるとコットン、シルクポリエステル、ウール、と感じられ、同じ黒だとしてもこれほどの歪みを生み出すあたりは、曲者であることが表されているのでしょうね。

歪|Distortion Silk Shell Vest|Fujimoto 25AW|えん -en-

そして全ての端部分においてはカットオフとされています。
最初から糸がぴろぴろと出ているわけではありませんが、着ていくうちに糸がぴろぴろと飛び出してきて徐々に歪んだ性格が出てきそうですね。
その歪んだ性格が出てきてこそFujimotoの世界観の真骨頂とも言えそうかと。

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これほど歪んだ歪んだと書いていますが、もちろん藤本さんが歪んだ性格なわけではありませんし、むしろ温かで物腰柔らかな方ですのでその点はご理解を。
とはいえ、ものづくりとしての思考はもしかしたら歪んでいるのかもしれません。
それ故にこれほど濃密な世界観が詰め込まれていると個人的には考えています。
思考が歪んでいるなんて悪いように言っているように受け取られてしまうかもしれませんが、これは僕からの最大の賛辞として受け取っていただければ。
何せ僕自身が虜になっていますし。

歪|Distortion Silk Shell Vest|Fujimoto 25AW|えん -en-
Distortion Silk Shell Vest ¥53,900 (in tax)

もし自分が歪んだ性格だったとしてもそれを肯定してくれているのかもしれませんね。
サンドウォッシュやタンブラーの加工が施されることで縮率、生地感、表情に歪みが生じ、これから歪んだ性格が出てきそうなカットオフ仕様とされ、ものづくりに対しての歪んだ思考による世界観が詰まりに詰まったFujimotoのDistortion Silk Shell Vestを是非。

池田

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