不敵
こんばんは。池田です。
楽しんでいたパリコレも遂に終了してしまいました。
どうやら今季はクワイエット・ラグジュアリーから派生してジェントル・ラグジュアリーなる表現がされているようです。
クワイエット・ラグジュアリー然り、ジェントル・ラグジュアリー然り、個人的にはあまり刺さらない表現なのですが。
否定しているわけではないですし、もちろん言いたいことはわかりますけどね。
そんな表現がされている中で、いくつかのブランドはその個性を不敵に強めることで、他のブランドとの違いを見せてくれました。
やはり流れに乗るよりも、個性が出たものの方が共感を得られるんだろうな、なんて考えてしまいますね。
僕がとやかく言うことでもないですけども。
パリコレは終わってしまいましたが、同時に東京コレクションが始まったので、それはそれで楽しみですね。
やはり国内のブランドを応援したいですし。
果たして今季の東京コレクションでは、ジェントル・ラグジュアリーを体現するブランドが多いのか、はたまた大胆不敵なコレクションで驚かすブランドが多いのか。
毎日メディアを回遊しながら楽しみたいと思います。
メディアを回遊していて面白い記事があるとつい不敵な笑みを浮かべてしまうんだよな、と怪しさを滲ませながら、本日はFujimotoのFreaks Knit "Absurdity"のご紹介です。
不敵な面構えをしていますよ。
23AWではスウェットを燃やして翼を表現していましたが、今季はニットをブリーチしてアスタリスクを表現。
前季同様に藤本さんご自身でハンドブリーチが施されています。
何故ブリーチをかけることを思いつくのか不思議で不思議で。
スウェットなどの古着のリメイクであればよく見かけますけど。
それを新品の、さらに柔らかさのあるコットンニットにブリーチを図る、いやはや飛んでいてたまらないです。
大胆不敵過ぎて本当に常軌を逸しているとしか思えないですよね。
もちろん良い意味で。
おそらくブリーチをかけずともFujimotoらしいコットンニットになっていたかとは思いますが、そこからさらにブリーチをかけることで、よりFujimotoとしての不敵さが強くなった気もしてしまいます。
まず他では味わえない仕上がりのニットでしょうね。
というある意味変態的な加工ですが、ここでは表にブリーチをかけているわけではなく、裏にブリーチをかけています。
そうすることで柄が不敵な笑みを浮かべているかのように、裏から浮き出てくるような見え方に。
ブリーチするだけでも存在感が出るにも関わらず、そうすることによって不敵な笑みがさらに怪しい表情と感じられるのではないでしょうか。
これだけのこだわりようには感服せざるを得ませんね。
こんなものを見てしまった暁には不敵な笑みをこぼさずにはいられないです。
実際展示会で見て、お話を聞いた時にはこぼしてしまいましたし。
そんな異彩を放った加工が施されたコットンニットは、既に着込んでいるかのような生地感です。
非常に柔らかく、フェードしているかのような色味。
存在感のある加工に目が行きがちではありますが、こういった部分もFujimotoたらしめる要素ですね。
上述したフェードしているかのような色味はCyanのみセレクト。
このCyanではテーマになっている作品「異邦人」の中の海と太陽や青写真から落とし込まれた色味となっています。
やや紫がかった色味が社会に対する思いが反映されているようにも感じられるでしょうか。
そしてサイズ感は着丈はそこまで長くなく、対して袖は長めの設計のFujimotoらしさのあるフリーサイズ。
このだらしなそうに見える設計も非常に良いんですよね。
やる気がなく、何事においても不敵な態度でいる、そのぐらいの力の抜けようとでも言いましょうか。
念の為言っておきますと、これは褒め称えてますのでね。
時には大胆不敵な行動を起こすことも大事になってくる、そう言われている気がしてしまいます。
大胆不敵な加工で、不敵な笑みを浮かべているかのような面構えを授かったFujimotoのFreaks Knit "Absurdity"を是非。
池田