軸
こんばんは。池田です。
展示会がある程度落ち着いてきたと以前書いたものの、新たにお誘いいただいたこともあり、2ヶ月ほどはほとんど展示会回りの定休日でした。
全く休みのない2ヶ月は楽しいものの、流石に疲労が溜まりますね。
そんな展示会祭も今週で落ち着きそうです。
休みがない中でも、軸を持ったブランドの展示会でお話を伺うのはやはり非常に楽しいですね。
既にお取り扱いさせていただいているブランドはもちろん、新たにお誘いいただいているブランドのお話を伺うことは特に。
ブランドがスタートするまでの経緯、コンセプト、コレクションやデザインへの落とし込み方、お取り扱いにあたっての選定基準、などなど様々ありますかね。
当たり前ですが、その中でも惹かれるのは軸がしっかりとあるブランド。
そういったブランドを見ると楽しいと同時に、こちらも身が引き締まりますね。
軸をぶらさずに自分らしさのある場にしていけるようにしていく所存です、と謎の宣言をしておきます。
謎の宣言から始まった本日は、今季からお取り扱いがスタートしたFujimotoのWound Coat "Lives"とWound Jacket "Lives"のご紹介を。
軸はもちろんしっかりとしていますし、洋服としても非常に魅力のあるブランドです。
少し長くなってしまう可能性がありますが、Fujimotoの今シーズン全体から。
今シーズンのテーマは ”Varsika”としています。
この”Varsika”は古代インドのサンスクリット語で「安居」という意味。
「安居」は仏教の出家修行者たちが雨期に1か所に滞在し、外出を禁じて集団の修行生活を送ることみたいです。
もちろん僕はそんな単語も意味も知りませんでした。
何故”Varsika”がテーマなのかというと、コレクションの背景に随筆家であり小説家の坂口安吾の生涯や作品があるためです。
諸説あるみたいですが、その坂口安吾というペンネームが、古代インド哲学に傾倒していたことから、「安居」が由来になったとのこと。
専門家でもなんでもないので、間違っている可能性もある点、ご了承ください。
その坂口安吾の代表作に「堕落論」という作品があり、その中で書かれている「生きよ、堕ちよ」をスローガンとして、MAN LIVES, MAN FALLSのモチーフやグラフィックなどが制作されています。
やっとアイテムの話に入りますが、そういうわけでアイテム名に”Lives”が入っています。
ちなみに僕は展示会でお話を伺ってすぐにオンラインで堕落論を買いましたが、非常に面白いので気になる方は是非読んでみてください。
直接であればお貸しもできますし。
実は『ひとりごと 11月4日』で読書感想文も書いてます。
少し長くなりましたが、「生きよ、堕ちよ」の”生きよ”側、”Lives”側のWound CoatとWound Jacket。
同生地を使用したトレンチコートとショート丈のジャケットになっています。
Wound Coatはかなり長めの丈になっており、1枚で非常にさまになる仕上がり。
一方のWound Jacketはすっきりとしたショート丈で、より着やす着やすくなっているでしょうか。
どちらのアイテムも特徴的なのがポケットの仕様。
同系色の色味の糸を使い、格子状に縫い付けられています。
同系色でまとめられているため、主張が強いわけではなく、シンプルなわけでもない、非常に良い塩梅かと。
そしてWound Coatでは背面のヨーク部分にボタンが付いており、開閉できる仕様になっています。
開けてインナーと見せてアクセントを加えるも良し、留めてシンプルに着るも良し。
このようなちょっとした遊び心には、つい手が伸びてしまうのは僕だけでしょうか。
共感していただけると嬉しいですね。
そこに使用されている生地は、コットンとシルクの混紡生地です。
画像では伝わりづらいかと思いますが、ややネップ感のある生地感になっています。
ネップ感があるとはいえ、シルク混の生地感によって古めかしさはなく、どことなく品を感じさせる佇まいになっているかと。
Wound CoatとWound Jacketだけに限らず、Fujimotoのアイテム全体に言えることなのですが、基本的に使われている生地などは天然素材です。
デザインやグラフィックに目が行きがちかもしれませんが、天然素材のみを使用する、そのこだわりもブランドの軸として一貫されていますね。
惹かれるわけです。
サイズはフリーサイズのみとなっています。
どちらも身幅はゆったりとしていて、袖は若干長めの作りです。
極端にゆるいシルエットではないので、多くの方にはまるサイズ感に仕上がっているはず。
ちなみに僕は175cmなので画像などは参考までに。
そして色味については”Lives”のOff Whiteのみ。
”Falls”のBlackも展開自体はあったのですが、特に”Lives”の生地感が好みだったので、Off Whiteのみのセレクトです。
汚れなどで気負わずに着ていただければと思います。
Fujimotoはじめ軸がしっかりとしているお取り扱いブランドのように、僕個人としても『えん -en-』としても身を引き締めないとですね。
一貫した軸を持ち合わせたFujimoto、その軸をしっかり携えたWound CoatとWound Jacketを是非。
池田