
捻り
こんばんは。池田です。
今更かもしれませんが、いよいよ25SSのデリバリーが本格化してきましたね。
週末に入荷することが多いので、いくつかのブランドが重なってしまうとてんやわんやしてしまいます。
こんなすぐに捻り倒されるほど小さい規模にも関わらず、この程度でてんやわんやしていてはいけないかもしれませんけども。
諸先輩方はこれ以上の量を捌いていることを考えると尊敬の念しかありません。
とはいえ、僕も流石にオープンから2年半経ったこともあって慣れてきていることも事実。
そうなれば、これからはもう少し一捻りして工夫していきたいところですね。
質は担保しながら早く捌けるような捻りのきかせ方を身につけねばです。
大量の入荷を一捻りするように捌けるようになるのはいつになることやら、と途方に暮れている中、本格化するデリバリーと同時に来季のオーダーにも迫られてしまっています。
デリバリーとオーダーの時期が重ならなくても、と憂いながらその現実に捻り倒されてしまうかもしれません。
それでもオーダーの締め日が差し迫っていないことも少なからずあることが唯一の頼みの綱。
なんて憂いていても仕方ないですし、実際は展示会で見た段階で何をセレクトするのかはある程度決まっているので、そこまで時間はかからないんですけどね。
もちろん即決できるわけではありませんよ。
それぞれ捻りのきいたデザインや仕様であるからこそ、選びきれないことも多々ありますし。
ただ、木っ端微塵に捻り倒される程度の僕では全てをセレクトできるわけはないので、確固たる意志で決断せねばなりません。
その決断だけは非常に辛いんですよね。
もう少し好きなようにセレクトできるようにならないと。

そろそろ捻りのきいた話題を書けるようにならないと、と話題が不足しがちなことを重々承知していながら、本日はULTERIORのVINTAGE WASHED SELEVEDGE DENIM 5P PANTSのご紹介を。
見事なまでの捻りをきかせた仕上がりかと。

こちらはデザイナーの牧さんが所有しているビンテージのデニムがソースとされています。
それだけにビンテージらしい捻りをきかせた要素を盛り込まれているかと。
正直なところ牧さんが所有しているデニムと聞くだけで間違いないと感じてしまうのは必然でしょうね。

そんなビンテージらしさを感じさせるのは、なんと言ってもこの捻り具合でしょうかね。
着込んで洗濯して、を繰り返すことで生まれる経年変化の捻り。
物質的にも捻りが生まれつつ、その佇まいにも捻りがきいていると感じることができるかと思います。

捻りがきいていることで、シルエットとしても捻りをきかせたものになっているかもしれません。
急いで穿いてしまったが故にウエスト位置がずれてしまっているようにも見えると言いますか。
捻りすぎたのかよくわからない表現をしてしまっていますが、この捻りにはビンテージならではの違和感を感じていただけるでしょうね。

とはいえ、全てをビンテージの要素でかためているわけではありません。
それを感じさせるのは設計の部分。
股上は深くとられていたり、ワタリやヒップをゆったりさせたり、とビンテージらしさに捻りを加えて現代的でもある相変わらずの絶妙加減ですね。

シルエットとしてはテーパードがかけられていますが、急激にはかけずに緩やかにかけられています。
それ故に捻りもぐいっとなりすぎることなくほのかに感じさせる程度にとどまっているかと。
捻りへの関与はもちろんのこと、印象としても古臭くなりすぎない仕上がりになっているのではないでしょうか。

そこに使用しているデニム地は、スーピマコットンをピュアインディゴで染め上げられ、ムラのある糸で織られた12ozの生機セルビッチデニムです。
ここでは旧式のシャトル織機でゆっくりと織り上げられているので、ぎゅっとした硬さを感じさせずにふっくらとした生地感を感じていただけるはず。
ビンテージデニムでは自分に馴染む感覚を得るには時間がかかったり、むしろ得られなかったりするかもしれませんが、そこは捻りはきかせない馴染み方をしれくれています。

それだけでなく、防縮加工、縫い合わせ部分のずれを防ぐスキュー加工、毛焼き加工などを施さないことによって、デニムらしい質感となっており、捻りをきかせない本来の姿に仕上がっています。
新品ぴかぴかな表情というよりも、穿き込んだような奥深さのある表情を感じられますかね。
それでももちろん古臭さは感じさせないので、新品ぴかぴか好きにも、ビンテージ好きにも、古着好きにも、寄り添ってくれる存在になり得ていると言っても過言ではないかと。

こんなものを見せられてしまったら、表現に捻りなんてきかせる必要もないですかね。
そんな時は心の奥底から欲を捻り出すこともなく直球勝負で挑みましょうか。
僕はもちろんそんなことはできないので、皆さんに挑んでいただきたい所存です。
ビンテージらしく捻りのきいた佇まいに、反して捻りをきかせないデニムの良い生地感と馴染み方をしてくれ、欲を捻り出さずとも欲してしまうULTERIORのVINTAGE WASHED SELEVEDGE DENIM 5P PANTSを是非。
池田